Si(100)ウェハを、HCl添加したBHF(pH=3.8)或いは、H_2O_2添加した希HF溶液で処理すると、SiH_2結合が支配的な(100)表面が得られることを、FT-IR-ATR分析によって明らかにした。これは、OH^-イオンによるSi異方性エッチングの進行に伴う(111)マイクロファセットの生成を抑制すること(pH制御BHFの場合)および化学的に活性なサイトを酸化し、除去すること(H_2O_2添加希HFの場合)が、Si(100)表面の平担化に有効であることを示唆している。この平坦なSi(100)表面では、自然酸化の進行がかなり抑制されることから、自然酸化がステップサイトから進行する可能性が高いと判断できる。 Si(111)ウェハの場合は、40%NH_4F処理によってSi-H終端された理想的に平坦な(111)表面が得られる。基板面方位の(111)結晶軸からの微傾斜度を反映して、原子ステップ構造が形成されることが分かった。この表面を始状態として、熱酸化膜を形成した後も、熱酸化膜を希HFにより除去した後も同様に、原子ステップ構造が観察できる。これは、Layer-by-Layer酸化機構を支持する結果である。 また、熱酸化膜を希HFで繰り返しエッチングしてATR測定した結果、膜厚25A以下の酸化膜では、酸化膜厚の減少に伴ってLOフォノン吸収が低波数シフトすることを見い出した。この低波数シフトは、基板界面近傍に圧縮性応力によって歪んだSi-O-Si結合が存在すすことを示唆している。
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