研究概要 |
(1)硫化水素、セレン化水素を用いたガスソース分子線エピタキシーでZnCdSSe系II-VI族の結晶成長を行い、深い準位からの発光が少ない良質のZnSeの成長条件を確立した。組成比にほぼ対応したH_2Sの流量でZnSSeの成長ができ、Sの付着係数が従来の認識より大きいことが明らかとなった。(2)n,p型ZnSeのドーピング制御がそれぞれ2x10^<19>cm^<-3>、〜10^<17>cm^<-3>まで得られた。(3)ZnCdSe/ZnSSe発光ダイオードの室温および77Kで電流注入緑色発光を観測した。室温での発光波長は543nmであった。(4)p、n型ZnSeの電気・光学特性の大きな劣化は、400℃程度以下の熱処理では見られないこと、さらに熱処理によってZnCdSe/ZnSe-LEDの発光出力が向上(3〜4倍)することを初めて示した。(5)ZnCdSe/ZnSSeおよびZnCdSe/MgZnSSe歪量子井戸レーザのしきい値電流密度を理論的に解析し、緑色域、青色域のレーザ設計の指針を明らかにした。(6)MgZnSSe/ZnSeのバンド不連続を実験的に算定し、ΔEc〜0.65ΔEgを得た。これを用いてMgZnSSe/ZnSe多重量子障壁(MQB)を検討し、ヘテロ障壁が120meVだけ高められることを示した。(7)ZnCdSe/ZnSe多重量子井戸レーザを分子線エピタキシー法によって試作した。77Kでの発振波長は482nm、しきい値電流密度は420A/cm^2で、理論値とよく整合することを示した。ZnSe系に適合した化学エッチング液を見いだした。(8)ZnSe/ZnSSe短周期超格子を検討し、GaAs基板との格子整合条件を示した。これを光ガイド層とすることでMgZnSSe系半導体レーザ構造が成長中断なく作製できることを示した。(9)これらの研究成果は、すでに口頭発表を行っているが、3編の学術論文として投稿準備中である。
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