本研究における成果は次の通りである。 (1)動画像中の剛体の抽出とその動きパラメータの取得を目的として、サンプリングACM、M out of N法、の2つの新たな手法を開発して、これをもとに3次元運動パラメータの推定技術を確立した。サンプリングACMは従来提案されているSNA KESの力パラメータの新たな設定法を定め、更に雑音除去能力を付加したもので、これによりビデオカメラで撮影した動画像から、剛体の輪郭を高速に抽出することが可能となった。M out of N法は、サンプリングACMで抽出した剛体の輪郭より、2次元動き成分を求めることを目的としている。剛体に3次元の回転等がある場合、連続するフレームの2次元画像はアフィン変換では一致しなくなり、2次元の正確な動きを求めることは困難となる。M out of N法では、剛体輪郭の特徴点を抽出して、画像の特徴点N個のうち、連続する2フレームで整合度があるしきい値を越した特徴点対数Nを数え、M/Nがある値を越すように運動量を求めている。本方式は、オクルージョンによる特徴点の新規発生、消失に強いことを特徴とする。ここで得られた2次元運動情報と剛体内のオプティカルフローを組み合わせて、正則化手法により3次元運動を推定する方法を開発した。 (2)構造化された複数のメディアを同期して表示するメディア同期を対象として、表示部が同期制御を行う従属同期形を提案して、画像としてMOTION JPEGを用いる場合のシステムを作成した。また、同期画像を得るのが困難なMPEG画像を用いる場合についても、対処法を開発した。更に、メディア自体が同期に責任を持つ、独立同期法の提案を行った。 (3)人間の上半身像を分析してその動きを解析する方法を対象として、手の動きを初期の数フレームの情報より推定して、以後推定結果を補正することにより、大幅に処理時間を低減する新しい方法を開発した。
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