研究分担者 |
上田 裕市 熊本大学, 工学部, 助教授 (00141961)
宇佐川 毅 熊本大学, 工学部, 助教授 (30160229)
園田 頼信 熊本大学, 工学部, 教授 (70037836)
津村 尚志 九州芸術工科大学, 教授 (20038962)
渡辺 亮 熊本大学, 工学部, 教授 (50040382)
|
研究概要 |
近年、情報の記録容量が飛躍的に増大しているが、通信メディアの多様化にともない、音楽のような多量の情報を低ビットで伝送したいという要求に応えるため、マスキング現象を利用することによる高帯域音響信号の低ビット符号化について研究が行われている。しかし、マスキングデータが不十分であるため、ヒューリスティックな手法での符号化が行われているのが現状である。本研究は、符号化の基礎となるマスキングデータを系統的に求めると共に、低ビット化の限界を明かにする。本年度は以下の条件について、マスキング特性を計測した。 (1)マスカーの継続時間:250ms一定 (2)マスキーの継続時間:5条件(10ms,20ms,40ms,80ms,160ms) (3)マスカーの周波数:5条件(250Hz,500Hz,1kHz,2kHz,4kHz) (4)マスキーの指示位置:マスカーの時間的中央 実験の結果、マスカーとマスキーの周波数が異なる場合、マスキーの持続時間が長くなるにつれ閾値が次第に低下するが、周波数が等しい場合、持続時間の増加に伴いいったんは閾値が低下するものの、さらに持続時間が増加すると閾値が増加することが明らかになった。このことは、マスキングを利用した高能率符号化において、信号レベルと許容ノイズレベルのレベル差に最大値が存在することを表しており、より効率的な符号化を行ううえで極めて重要な知見である。また、この現象が、聴覚系における周波数分析能力をモデル化することにより計算機シミュレーションにより定性的に表現可能であることが確かめられた。
|