| 研究概要 |
本研究では,オンライントランザクション処理のための高信頼分散ネットワークシステム構築手法について研究を行った。本年度に得られた主な研究成果を以下にまとめる。
1.分散アルゴリズムシミュレータの機能拡張:複数のプロセスが互いに協調動作する分散システムを実験的に評価することを目的として,研究代表者らは分散アルゴリズムを,システムを構成するプロセッサの機械語レベルで詳細にシミュレーションする分散アルゴリズムシミュレータを既に開発している。本年度は,シミュレータを拡張し,FDDI等の高速LANを上位レベルのネットワークとしてもつ階層ネットワークのシミュレーションを可能にした。また,シミュレーションデータ解析機能を付加した。これらの機能を用いて,相互排除分散アルゴリズムのシミュレーションや,階層ネットワークにおける負荷分散の評価を行い,シミュレータの有効性を検証した。
2.動的ネットワークにおける経路更新分散アルゴリズムの開発:分散システムにおいて,リンクにコストが与えられている場合,リンクコストが最小となる経路を選択する問題を最短経路構成問題と呼ぶ。同様に,転送すべきメッセージ量が与えられた場合に通信時間最小となる経路を選択する問題を最速経路構成問題と呼ぶ。本研究では,ネットワークのトポロジとリンクコストが動的に変化する場合の上記の2つの問題に対し,少ないメッセージ量で経路更新を行う分散アルゴリズムを開発した。提案アルゴリズムはネットワークに変化が生じる度に起動され,有限時間内で正しく経路を更新する。提案アルゴリズムにより,分散システムにおける信頼性の高い経路更新が可能となる。
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