研究課題/領域番号 |
04452199
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横尾 邦義 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (60005428)
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研究分担者 |
嶋脇 秀隆 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (80241587)
佐藤 信之 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10178759)
室田 淳一 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (70182144)
小野 昭一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00005232)
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キーワード | トンネル効果 / 電界放射 / 冷陰極 / 真空マイクロエレクトロニクス / MOSデバイス |
研究概要 |
真空マイクロ素子に用いる微小MOSトンネル陰極の開発を目的として、本年度は、次の4項目の実施計画に基づき研究を行った。 1.MOSゲート電極用高品質金属薄膜の堆積 2.高電界下での酸化膜の劣化機構の解明 3.MOSトンネル陰極の電子放射特性の測定と評価 4.単結晶絶縁薄膜を用いたMOS構造の形成 上記項目に関し、現在までに行った研究実績を以下に略述する。 1.薄膜Al、Siをそれぞれバイアススパッタ法とCVD法で堆積して、MOS陰極ゲートの評価を行った。Si電極は、酸化膜の劣化が少く、素子特性が安定であること、ホットエレクトロンの平均自由行程が4.4nmとAlの2.8nmより長く、ゲートとして優れている。 2.高電界下での酸化膜の劣化は、キャリヤ注入による電子トラップの発生が原因しており、Siゲートの使用、酸化膜厚を薄くすることで酸化膜の劣化が低減することを確認した。 3.AlおよびSiにゲートMOSトンネル陰極を試作し、電子放射は大気中でも観測され、ガス圧依存性がほとんど無いことを確認した。一方、トンネル電子は、酸化膜の伝導帯中で大きな散乱を受け、伝導帯の底附近までその運動エネルギーを走行中に失うことを放射電子のエネルギー分析により確かめた。上記1、2、3の実験結果から得られた知見を基にして、安定で、高輝度、低エネルギー分散の放射電子の得られる新しいMSOS4層構造トンネル陰極を提案した。 4.MOS構造の酸化膜に単結晶を用いること、将来の多層構造による共鳴トンネル陰極の開発を目的として、Si基板上に金属アルコキシドガスを用いたM・BE法により、単結晶Al_2O_3膜の成長に成功した。単結晶ゲート膜の成長は今後の課題である。
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