研究概要 |
人間の手は,センサとしての機能とアクチュエータとしての機能がうまく融合された,優れたセンシングシステムである.また,人間の目も同様に動眼機構というアクチュエータとしての機能がセンサとしての目の機能に大きく影響している.このような能動的な情報獲得動差が可能な感覚機構は,拡大された対象範囲を持つばかりでなく,各感覚情報間の融合を形成する上で重要な役割を担っている.この能動的情報獲得動作を工学的に実現しようとするのが能動的センシングである. 一方,視覚情報と触覚情報は対象物の認識に対して,質の違う情報を提供し,従って相互の関係を考慮した処理を行うことにより,視触覚処理系あるいは運動系を含んだ感覚情報処理システムとして,柔軟性・信頼性の高い認識判断機構を実現している. 本研究では,このような視覚-触覚-運動系の融合の工学的実現を目指したセンサフュージョンシステムを試作し,その情報処理機能を理論的・実験的に明らかにする. 本年度は,平成4年度に実施した視覚・触覚センサを用いたセンシングシステムの全体を設計並びに個別要素の組立と基礎実験に基づき,実証実験として対象物の認識実験を行った.その結果,センサフュージョンシステムにおける能動的センシングの役割が明らかになった. 具体的な作業としては,まず前年度の設計・試作した触覚センサ並びに本年度実装した視覚システムを用い,簡単な対象に対する認識実験により,認識アルゴリズムのテスト・改良を行い,最終的にシステム全体の評価を行った.また,この過程で得られた知見をもとに新たなアルゴリズムを提案し,その理論の整備を行った.
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