研究分担者 |
五反田 博 近畿大学, 九州工学部, 助教授 (10153751)
内野 英治 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (30168710)
井上 勝裕 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (00150516)
平城 直治 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (30038559)
山川 烈 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (00005547)
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研究概要 |
本研究では,1.非線形非定常大規模システムとしての電力発電プラント,2.パラメータ変動を伴う線形システムを診断対象として,知識支援型モデルベース故障診断法の開発と応用について考察し,以下の研究成果を得た. 1.については,火力発電用ボイラにおける蒸気過熱器系の非線形非定常物理モデルを構築し,先に開発した[シミュレータによる非線形システムの短時間同定法]を適用してモデルの未知時変パラメータをオンラインで推定できることをシミュレーションを通して確認した.かくして,短時間同定法を用いて対象システムの物理パラメータの変動をオンライン監視することにより,パラメータ変動に起因した多様な故障の検出が可能となる.また,発電プラント起動時におけるボイラ主蒸気温度を与えられた規範曲線に沿って上げていくための燃焼制御方式として,本短時間同定法を用いた適応制御法を開発し,目下実プラントへの適用化に向けて企業との協同研究を進めている. 2.については,故障に起因するシステムパラメータ変動と正常な動作の中でのパラメータ変動とが混在する診断対象システムとして,適応制御の下で運転されている線形システムを考え,カルバック識別情報量規範によりシステムパラメータ変動をオンライン検出すると共に,その変動が故障に起因するものか否かをニューラルネットワークにより判断する知識支援型のモデルベース故障診断手法を開発した.特に,故障判定機構としての階層形ニューラルネットワーク構成とその学習用トレーニングデータ生成への知識情報の利用法を確立した. また,線形システムとして記述される直流電動機駆動系を対象として,複数個のシミュレータに基づく短時間同定法を用いて各種構造パラメータの急変に起因する故障の検出と識別を行う,分散型故障診断法を考案した.さらに,研究分担者により,非線形確率システムに対する状態推定法やファジイ-フィルタの開発,ニューラルネットワークの最適学習法,並びにMHD発電プラントの特性解析等についての新たな研究成果も得られ,いずれもモデルベース故障診断のための情報抽出に有用であることを確認した.
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