1.防撓材の衝撃曲げ 防撓材のフランジが引張を受ける曲げの場合、ひずみ速度による降伏点の上昇によりBrazier現象類似の現象が強調され、静的曲げの場合に比べて早期に強度低下が起こると考えられる。この点を明らかにするため、船体の防撓耕造を、帯板に2条のL形断面防撓材を取り付けてモデル化した試験体により、衝撃3点曲げ試験および静的3点曲げ試験を行った。防撓材の取付け角(ウェッブ面と板面のなす角)は90度、60度、45度である。本実験は防撓材の横倒れないしは断面変形を計測することが重要である。高速度ビデオカメラを用い、スパン中央のフランジの外縁の変位(これを横変形量と呼ぶことにする)を計測した。静的試験、衝撃試験ともに、試験体の撓みが大きくなるに従い横変形量も単調に増大するが、90度の場合、衝撃試験の方が横変形量は小さく、60度の場合は差が無く、45度では衝撃試験の方が横変形量は大きくなった。荷重については、衝撃の方が早期に起こる結果も得たが、ほとんど差の無い結果も出て、現時点では明確な結論を出すことが出来ない。DYNA3Dによる計算を進めている。試験体製作における熱処理等、再検討すべきである。 2.動的塑性の構成式 静的塑性の内部時間理論を発展させ、べき乗型と指数型の動的塑性の塑性構成式を提案した。提案の構成モデルは、従来のように後続降伏曲面からの超過応力の概念に基づくものであるが、静的な等方、移動、混合硬化則を動的な場合に拡張したものである。単調負荷あるいは繰り返し負荷のひずみ速度が一定の条件で計測した単軸応力-ひずみ曲線の実験値と比較することにより、広範囲のひずみ速度に対しその近似能力を検証した。アルミニウムと軟鋼を例にとり、従来のように等方硬化則だけでなく、移動、混合硬化則を用いても実験結果を精度良く近似できることを示した。
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