従来用いられてきた非定常波動場の計測方法は数本の波高計を曳航水槽に設置しその横を通過する船舶が作る非定常波動場のある一断面を計測するものであった。この方法では平面的な広がりを持つ非定常波動場の全貌を把握することは出来ない。また、船体のごく近傍に波高計を近付けることが出来ないため船首部で発生する砕波現象などの計測は出来ない。本研究の特色は上述の短所を克服するため、非定常波動場を写真やビデオカメラで撮影し画像処理の技術を応用して非定常波動場を特徴づける波高等の値を計測するシステムの開発を行うことである。この計測システムが完成すれば従来の計測データとは比較にならない膨大なデータを短時間の内に計算することが可能になる。本非定常波動場計測システムは水槽全体が透明アクリルで出来ており、非定常波動場を写真やビデオカメラで撮影し画像処理を行うのに適した構造となっている。 画像処理の手法を使って水波の計測手法の開発を実施した。水槽壁面の撮影により壁面上の(すなわち一直線上の)同時波高計測が可能になった。これは多くの装置を必要としない簡単な計測システムであるが、波崩れを伴う強非線形な波動の計測にも有効であることも示した。また、この解析手法は多くの他の計算にも応用可能なことを示した。平面的な波動の計測方法は成功していないが、今回の成果を発展させれば可能と考えられる。
|