本研究は、コンクリート用補強材として高張力鋼の代わりに一方向強化FRP緊張材を用いる場合に、特に重要な強度特性であるFRP緊張材の疲労特性を明らかにするために、現在主要な補強繊維であるカーボン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維を使用したFRP材について破壊エネルギー理論に基づく考え方で、疲労限界がどこにあるのかまた使用繊維によってどの様に異なっているのかを明らかにすることを目的としている。今年度得られた結果は以下の通りである。 ○ FRP緊張材として、カーボン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維を使用した3種類のFRPロッド(φ6mm)を対象とし、繊維単体ならびにFRPロッドについて、ロッドの場合には原則的に、そのばらつきを考慮して1条件当たり10本の載荷試験を現有のサーボパルサーで実施した。 ○ FRPロッドの静的載荷試験を実施し、荷重のみならず変形および変位を計測し、各FRP材が破壊までに吸収し得るエネルギーを求めた結果、アラミド繊維が最もエネルギー吸収量が大きいことが明かとなった。 ○ 複合化理論に基づくFRPロッドの破壊条件から、FRPロッドの場合にも最大エネルギー吸収量が存在し、これを用いてコンピュータシュミレーションした結果、同時に計則を行ったAE計測結果ともほぼ対応しており、破壊エネルギー理論の妥当性が確認された。 ○ 今後は当初の計画通り、今年度では終了しないFRPロッドの疲労試験を継続して行い、各繊維を用いたFRPロッドの疲労破壊条件を求める。
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