研究概要 |
1.ひずみ軟化型弾-粘塑性構成式の開発 軟岩に対して適用性の示された足立・岡のひずみ軟化型弾塑性構成式を発展させて,ひずみ硬化-軟化挙動ならびに時間依存性挙動の双方を表現できる弾-粘塑性構成式を誘導した.ここで新たに仮定したのは,応力履歴比の再定義,時間測度の導入,および材料強度の経時的な低下の3点である. 2.ひずみ軟化型弾-粘塑性構成式の適用性の検討 地盤材料の時間依存性挙動としては,主に,クリープ挙動,ひずみ速さ効果および応力緩和現象の3つが挙げられる.そこで,高瀬の行った大谷石に対する排水クリープ試験および足立・小川の行った大谷石に対する排水三軸せん断試験の結果について,同構成式を適用してシミュレーションを実施した.その結果,上記の3つの時間依存性挙動を表現できることがわかった. 3.モデル地盤における進行性破壊現象の解析 上記構成式を適用して,有限要素法によってモデル地盤における斜面の進行性破壊現象を解析した.その結果,破壊が局部的に始まり次第に他の部分に広がるという進行性破壊のメカニズムを良く表現できることから,本構成式の境界値問題に対する有用性が確認された. 4.掘削に伴う軟岩斜面の逐次破壊に対する有限要素解析 堆積軟岩における掘削斜面の長期不安定化の主要因としては,掘削に伴う吸水膨張や風化作用に伴う構造劣化などに起因した時間依存性現象である軟弱劣化および,ひずみ軟化現象に起因する進行性破壊の2点が挙げられる.そこで,軟弱劣化による時間依存性強度劣化,材料のひずみ軟化挙動,および地盤内の初期K_o応力状態を考慮して,モデル地盤における掘削斜面の弾塑性有限要素解析を実施するとともに,掘削に伴う斜面の逐次破壊に関して考察を加えた.その結果,本解析により,軟弱劣化によって地盤が逐次的に降伏していき,変形が進むとともに地盤内応力が再分配されていくことが認められた.
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