過圧密領域における珪藻軟岩の強度・変形特性 大分県玖珠群下尾本の未風化の切土斜面よりブロックサンプリングした試料を用いて、供試体の切り出し角度の異なる2種類の供試体について、過圧密領域における圧密排水(CD)および圧密非排水(CU)条件の三軸圧縮試験を行った。なお、通常の切り出し角の供試体をH-sample、90度傾いた供試体をV-sample と呼ぶことにしている。乱さない珪藻土のセメンテーションによる固結力を力学的に破壊することにより、その力学的特性がどのように変化するかを見るために、乱さない供試体と同じ含水比、間隙比になるように静的に締め固めた供試体についても、圧密非排水(CU)三軸圧縮試験を実施した。 圧密排水条件:ピーク強度は僅かにH-sampleの方が大きいが、初期接線係数はV-sampleの方がH-sampleの約1.2倍である。ピーク強度は拘束圧の影響を受けず一定であるが、残留強度は拘束圧に依存する。破壊に至るまでの体積収縮は拘束圧や切り出し角の影響を受けないが、その後の体積変化は拘束圧に大きく支配される。H-sampleの方が若干収縮が大きいが、全体の試験を通じて、圧密排水条件のこの供試体のみがきれいなせん断面を示さないことと関係があるのか、はっきりしない。 圧密非排水条件:圧密排水条件と同じく、ピーク強度は拘束圧の影響をあまり受けず、H-sampleの方が僅かに大きいが、初期接線係数はV-sampleの方がH-sampleより大きい。間隙水圧は最大軸差応力時にピークを示し、その後一定値となる。せん断時の間隙水圧は当然のことながら、B値に依存しており、間隙水圧の測定値の信頼性は特に多孔性軟岩の場合、いかに飽和度を高めることができるかにかかっている。
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