研究概要 |
平成5年度のデータを補足するために,新たに土佐湾および鹿児島湾において,海底地盤から土試料を採取した。これらの試料について炭酸カルシウム含有量の測定をはじめ,力学試験・物理試験を行った。鹿児島湾の試料については,重金属含有量についても測定した。さらには,羽田沖の海底土について平成5年度と同様の土質試験を行い,これまで得た結果との比較検討を行った。その結果,炭酸塩が地盤形成に強く関係しているという昨年までの結果の確証が得られた。とくに地盤の強さは炭酸塩の含有量に支配されることが明かとなった。また,炭酸カルシウム含有量から現在および過去の堆積環境が推定可能であることが分かり,地球規模の環境問題への緒が得られた。さらには,重金属のバックグラウンドを推定するために炭酸カルシウム含有量を用いる方法について検討した。これにいついてもある程度良好な結果が得られ,1996年の国際土質工学会主催の第2回環境地盤工学会議に論文を投稿する予定である。このほか,地盤形成のもう一つの要素である圧縮(密)現象について,これまでとは異なった見地から「過剰間隙水圧を伴わない圧密」として土粒子の堆積による地盤形成について新しい考え方を論文としてまとめた。 平成4年度からこれまでに得られた研究成果について,総合的に再検討するとともに,それらを次の「研究発表」の欄に示すように論文としてまとめた。これら以外にも現在いくつか論文を作成中である。 本年度は,最終年度でもあり,総合的な見地から報告書を作成した。なお,報告書は7章から構成し,付録として論文別刷を選択して付けた。また,海底地盤に含まれる炭酸カルシウムについての詳細をQ&A形式で付録に示した。
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