研究分担者 |
丁子 哲治 富山工業高等専門学校, 助教授 (80092790)
斉藤 武久 金沢大学, 工学部, 助手 (40242531)
矢富 盟祥 金沢大学, 工学部, 助教授 (90135541)
石田 啓 金沢大学, 工学部, 教授 (50093183)
高瀬 信忠 金沢大学, 工学部, 教授 (90019711)
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研究概要 |
白山山麓尾口村(標高460m)および白峰村(標高666mおよび標高860m)の3地点で行われた野外観測調査の結果,以下の事実が明かとなった。 1)新雪のpHの平均値は4.49から4.66であり,かなり酸性化した雪である。 2)降雪の酸性化に寄与する化学成分は,非海塩起源のSO_4^<-2>次いでNO_3^-であり,このことは硫黄分の多い石炭を主要なエネルギー源としている中国型の酸性雨と同様な特徴を示し,北陸の酸性雪は大陸起源の汚染物質により酸性化されている可能性が強い。 3)積雪からの化学成分の融解は積雪の融解変態と融解水の浸透流下にともなって起こり,新雪しまり雪ざらめ雪と変態が進むにしたがい汚染物質の含有量は減少し,積雪層はきれいになる。また,融解により流出した雪の量の全積雪相当水量に占める割合よりもはるかに高い割合の化学成分が失われる。このことから,雪の結晶あるいは粒子中の汚染物質は比較的雪の表面に近いところに保持されていると思われる。すなわち,汚染物質は雪の結晶内部よりも雪粒子の表面に付着していると考えられる。 4)今回調査の対象とした地点は,北海道や諸外国の寒冷積雪地に比べ気温が高いため,冬期に降雪その融解が繰り返し起こり,融解のたびに上層新雪層あるいはしまり雪層の化学成分が流出するために,融雪期の開始前に積雪はかなりの汚染物質は失っており,春先の強い"Acid Shock"は起こらない。
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