研究概要 |
都市廃棄物発生量の増大・質の多様化の進展に伴い、処理・処分技術の高度化か図られているものの、処理・処分の環境影響、特に有害性物質の影響に関する社会的懸念と、これらに対する長期的環境安全性確保の要求と必要性とが増大している。しかしながら、長期的な環境影響の解析・評価手法は確立されておらず、また処理・処分トータルシステムの合理性の検討も徹底されていない。そこで本研究では、都市ごみ焼却処理・埋立処分に係る長期環境影響評価手法の高度化と処理・処分の合理化に関して研究を行った。得られた主要な研究成果は以下の通りである。 1,焼却炉排ガス中有害性物質の環境蓄積を考慮したリスクアセスメント手法に関して、重金属を対象としてモデルシミュレーションを行い、水銀の場合、土壌への長期的蓄積によって、土壌環境基準値を越える可能性があることがわかった。 2,排ガス中有害性物質の環境蓄積モニタリングに関して、京都市内の農地土壌を対象地域として実測調査を行い、重金属による土壌汚染は蓄積性があることがわかった。 3,焼却灰埋立処分場排水の環境リスクアセスメントに関して、排水処理前後での有機ハロゲン化合物生成能変化について実験的検討を行い、逆浸透法による排水処理が有機ハロゲン化合物生成能の低減に有効であることがわかった。 4,カルシウム剤使用排ガス処理システムで生成する集塵灰の安定化処理に関して、セメント固化処理における有害金属溶出について実験的検討を行い、カドミウム及び亜鉛は酢酸を溶媒とした時に溶出量が多くなることがわかった。
|