研究概要 |
鋼構造柱梁接合部として、箱形断面柱に合成梁の鉄骨を水平ダイアフラム補強なしで直接溶接する形式を採り上げ、半剛接合部の耐震性能を実験的に検討した。 試験体の柱は箱形断面口-200×200×t、梁はBH-250×120×6×9と厚さ70mm,幅1000mmの鉄筋コンクリートとの合成梁により構成される約1/3の縮小モデルによる2層2スパン骨組架構試験体で、その内訳は柱管厚がt=19mmの試験体FBB及びt=9mmの試験体FCCの2体である。載荷は、各柱頭に一定軸力を導入し、2階床及び3階床の梁鉄骨に1:2の比率で正負漸増繰返し水平載荷した。得られた主な成果は以下の通りである。 (1)FBBは梁圧縮側フランジの局部座屈及び引張側フランジ溶接止端部の引張破壊により、また、FCCは柱梁接合部における柱管壁の局部破壊により骨組の水平最大耐力が決定した。なお、両試験体とも柱脚には塑性ヒンジが形成されていた。 (2)FCCの水平最大耐力はFBBの約0.49と低下する。また、柱梁接合部の曲げモーメント-局部回転角が骨組架構の初期水平剛性に与える影響は、FCCではFBBに比較して顕著となっている。 (3)骨組架構の変形性能には、FBBでは梁部材と柱脚の変形性能、また、FCCでは柱梁接合部と柱脚の変形性能の寄与が大きい。また、両試験体とも、各層の層間変形角が約1/33まで安定した紡錘形の変形能力に富む復元力特性を示している。 以上の通り、平成4及び5年度の実験により、柱梁接合部の局部耐力と合成梁の部材耐力の関係を適切に変化させた骨組架構の復元力特性に関する基礎的資料を得ることができた。
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