本研究では鋼構造半剛接合部として、柱は箱形断面、梁は合成梁とし、梁鉄骨をダイアフラム補強なしで柱フランジに直接溶接する無補強形式の柱梁接合部を採用した。 柱梁接合部の局部耐力と合成梁の部材耐力との比率により接合部を3種類に分類し、柱梁接合部がそれぞれの分類に当てはまる柱梁部分骨組架構試験体の実験を行なった。その結果、この形式の柱梁部分骨組架構は、破壊形式の相違によらず、いずれの試験体も層間変形角が1/25まで安定した紡錘形の復元力特性を示した。また、この形式の柱梁接合部の曲げモーメント(〓M)-局部回転角(〓θ)関係を実験結果より求めた。 さらに、柱、合成梁及び柱梁接合部の形式を部分骨組架構試験体と同一とした2層2スパン骨組架構実験により、骨組架構は、破壊形式の相違によらず、層間変形角が1/35程度まで安定した紡錘形の復元力特性を示した。また、柱梁接合部の〓M-〓θ関係を梁端の回転バネとして扱う骨組架構の弾塑性荷重増分解析結果が骨組架構の復元力特性の骨格曲線として妥当であることを示した。 以上の研究成果により、鋼構造半剛接合部が鋼骨組挙動に及ぼす影響を検討する方法を示し、鋼構造半剛接合の有効性を示すことが出来たと考えられる。 また、三次元弾塑性有限要素解析により前記の柱梁接合部の〓M-〓θ曲線を精度よく解析できることより、有限要素解析のケース・スタディを蓄積することにより、柱梁接合部の〓M-〓θ関係を定式化することが可能であることが示された。
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