シェル、スペースフレーム、膜構造で代表される空間構造において、大規模化および軽量化が進むにつれて、地震や風に対する動的構造挙動の調査と評価は重要な課題となっている。本研究では、1.偏平構造の上下動外乱に対する動的挙動と安定、2.不安定構造物の動的挙動、に関する実験および理論解析を実施した。 項1では、周期成分を含む外乱に対する動的挙動とその結果として発生する動座屈を調査している。動座屈を理論解析する場合、動的分岐現象の数理解析が不可欠であり、本研究では、多数のアトラクターや不連続ジャンプ等が存在する非線形現象を調査し、初期状態から過渡状態を経て、安定状態に至るまでの解析を実行している。結果として、動座屈における減衰効果および周期成分の影響等が得られている。 項2では、膜構造やケーブル構造等、不安定状態で生じる動的挙動を調査、研究している。リンク構造を解析モデルとして採用し、幾何学的拘束条件と運動学的拘束条件を利用し、伸びなし変異モードに着した動的解析法を開発している。この解析法では、直交射影行列にる運動方程式の分解を有効に利用している。さらに、精度の向上を計るため、高次項の導入とNewton-Raphson法による収束解法を組み込んでいる。自由落下および指定速度を与えた数値解析をおこない、提案した解析法の有用性を示している。
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