平成5年度は、平成4年度に開発した浮遊微粒子の散乱光計測システム(CAPシステム)の性能の把握を目的として、PSL標準粒子を用いた測定実験を行った。また、実験値より屈折率の算定を行い、理論との対応から本識別手法の有効性について検討した。得られた知見は以下の通りである。 1.CAPシステムにより、強度の小さい側方および後方の散乱光についても、強度の大きい前方散乱光と同時に測定を行うことで、ノイズと明確に分離することが可能となった。 2.CAPシステムの性能として、レーザー光の断面強度分布の影響について検討し、散乱時間と散乱光強度の関係を把握した。本システムにおける平均的な散乱時間および散乱光強度のピーク値は、それぞれ最大値の0.7程度であった。また、2方向からの計測により得られた散乱光波形の検出時間差を求め、散乱時間と比較して非常に小さな値であったことから、散乱光強度の2方向同時計測が有効に行われていることを確認した。 3.散乱光強度の確度依存性に関する理論値と実験値を比較し、CAPシステムおよび本識別手法の妥当性を検証した。 本研究では粒子の屈折率を指標とした組成識別について検討を行ったが、今後の課題として、種々の物質の粒子に対して測定実験を行い、散乱光強度波形の形状等に注目した組成識別の可能性を検討する必要がある。
|