自然エネルギー利用の1つとして、地盤を年周期の長期蓄熱媒体として利用する方法、その特性予測法について研究を行った。研究により得られた結果は、以下の通りである。地盤蓄熱の形態は、住宅等での利用を考え、密閉型、垂直井戸形式のいわゆる熱井戸形式のものであり、地盤熱は、ヒートポンプの熱源として利用することを前提として行なった。 (1)蓄熱井戸への負荷パターン(ただし年平均熱流0)と、蓄熱井戸水温の年変動を算定する方法、蓄熱井戸の熱効率、許容最大熱流振幅を定める方法を示した。 (2)実物大の密閉型蓄熱井戸(直径20cm、長さ10cm)を作成し、2年間連続運転、測定を行った。熱負荷は、許容最大振幅として実験した。その間、蓄熱井戸水温、地盤内の温度、水分ポテンシャルの分布を測定した。最大負荷時の熱量振幅は大略0.5kw、井戸内水温の振幅は、予測通り外気温振幅とほぼ一致している。年周利用の蓄熱井戸の有用性を示した。又、最大負荷以下では、井戸周辺でのdryoutの危険性は全くない。 (3)提案した熱水分同時移動方程式を用いて、実験時の井戸水温、地盤内温度、水分ポテンシャル分布の計算を行い、実験値と比較した。両者は極めて良い一致を示し、この解析による予測の妥当性を示した。また、降雨、常水面の位置、等について感度解析を行った。 (4)関連研究として、地盤の凍結時の挙動解析法の提案を行い、数値計算を行い、さらに0℃以下での水分の平衡関係を測定し、それは0℃以上のものと一致することを明らかにした。また積雪層の熱挙動解析法を示した。 (5)蓄熱槽の確率的最適制御法について検討し、熱源容量有限時の解析法の定式化と近似解析法(有限容量の確率変数化)を示した。
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