研究概要 |
本年度は,当初計画に基づき,以下の研究を行った. 1)都市再開発事業に関する実態調査:大阪市の梅田再開発事業を対象として,その事業内容を文献調査により整理するとともに,現状について実態調査を行った.さらに過去の住宅地図を用いて,各再開発ビルに入居している全業種内容を竣工時より追跡調査を行った.その結果,ビルによって業種の構成に違いがあること,竣工当初は見られなかった遊興娯楽施設や金融施設が次第にその数を増してきていることなどが明らかになり,都市再開発事業に対する長期的な展望の必要性を指摘できた. 2)鉄道駅周辺地域における各種地域施設の発生過程に関する調査:大阪府下の5つの鉄道駅周辺を調査対象として,その地域内に立地している26業種の経年的な分布実態を住宅地図を用いて調査した.その結果,施設は鉄道駅に集中して分布する傾向がみられること,各業種は駅からの距離と施設密度の関係により<低減型><並列型><増加型><特異型>の4つのタイプに分類されること,<低減型>に属する業種は時間の経過とともに増加することなどが明らかになり,鉄道駅近傍の計画にも長期的な展望が必要であることが指摘された. 3)ショッピングセンター(以下,センター)における各種地域施設の発生過程に関する調査:大阪市内に存在する6つのセンター周辺を調査対象として,その地域内に立地している50業種の経年的な分布実態を住宅地図を用いて調査した.その結果,商業施設や飲食関連施設は特にセンター周辺に立地する傾向にあること,施設の発生位置には周辺の幹線道路・センターの入口の位置・鉄道駅の位置などが影響していること,センターが立地に影響している業種とそうでない業種があることがわかり,今後,ショッピングセンターを計画するにあたっては,開店後の周辺状況の予測も重要であることが指摘できた.
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