研究課題/領域番号 |
04452261
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (90195967)
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研究分担者 |
鈴木 成文 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (60010667)
伊藤 延男 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (40124193)
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キーワード | 空間言語 / 地形名 / 環境観 / 分類 / 比較 |
研究概要 |
本研究は、モンスーンアジアの多様な環境観(自然観・世界観)とその変容の解明と比較を目的として、各地域で使用されている言語に着目し、その環境観を最も反映している空間言語(地形名)を調査研究の素材としている。この空間言語は各民族が経験してきた自然環境と、自然環境に働きかけた営爲を反映しており、本研究はこれらの比較研究を通じて各民族の環境観にアプローチするものである。 今年度は、それぞれの言語を母国語とする日本在留研究者の専門的協力を得、一つ一つの地形名が何を指し示すのかを検討しつつ、朝鮮語大辞典(大阪外大朝鮮語研究室・角川書店)及び中日大辞典(愛知大学・大修館書店)を用いて空間言語(地形名)の抽出作業を行なった。 そのうち、朝鮮語については269語を抽出し、それらをKJ法により以下のような14の類型に分類・整理した。すなわち、1.山のいただきと峰(24語)、2.山の背(9語)、3峠(2語)、4.大きな山・山なみ・親しい山(19語)、5.山の中腹からふもと(15語)、6.山あい・奥山(43語)、7.独立した丘、山に連なった丘(20語)、8.草原、野原(31語)、9.海の崖、山の崖(9語)、10.池・沼・湖(12語)11.沼地・湿地(11語)、12,穴(4語)、13.みぞ・小川・川、14.ほとり、浜べ(52語)これらの類型名には全て朝鮮語が対応する)である。これらを検討すると、上記の類型1から7に示されるような山頂からふもと・山間地に該当する、山に関連した語彙が多いこと、とりわけ類型6に示される、山裾から山間地に至る空間、地形に関する語彙が極めて多いこと、さらには類型14に示される、いわば水辺の空間に対する語彙も比較的多いことが明らかになった。
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