研究概要 |
平成4年度の研究においては、岩石断面の割れ目の統一的なフラクタル解析の方法について新たな手法を提案した。この方法に基づき岩手・秋田両県の八幡平一帯に分布する玉川溶結凝灰岩類の割れ目の分布について評価を行った結果、10cm×10cm,50cm×50cm,および1.6mm×1.6mm四方の平面に観察される割れ目はフラクタル則に従うことが確かめられ、ボックスカウンティング法によるフラクタル次元の平均値として1.28の値を得た。この計測は岩石の任意断面についてのものであり、三次元的分布の評価に発展させることが必要である。 5年度は、同じ凝灰岩を大型カッターにより多数のスライスに切断し、同一軸上にある各岩石片について割れ目パターンの解析を行った。すべての割れ目のフラクタル次元は1.40〜1.21の範囲内にあり、それらの平均値は前年度に求めた値とほぼ一致した。この結果に基づき、フラクタル次元で特徴づけられる岩石の割れ目のパターンをコンピュータにより表示するために、モデル化のためにフラクタル次元に加えて必要とされる割れ目系の諸特徴の抽出を行い、基本的なモデルの抽出を行った。得られたコンピュータ画像の再評価を行い、それが指定されたフラクタル次元を敏感に反映していること、視覚的にもとの岩石の割れ目とよく類似することを確認した。
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