繊維強化金属の界面力学特性と複合材料の引張強度との関連性を検討した。実験にはSiC(SCS-6)繊維強化Ti系複合材料を用いてプッシュアウト法による界面せん断剥離エネルギー開放率ならびにせん断滑り応力を求めた。SiC繊維強化Ti-15-3複合材料の場合、界面せん断剥離エネルギー開放率は10J/m^2以下であり、界面せん断滑り応力は80〜120MPa程度であった。この界面せん断剥離エネルギー開放率は、反応層が破断した後にクラックは繊維の破断を生じずにディフレクトする条件範囲であり、界面せん断滑り応力はマトリックスのせん断降状応力よりも小さな値であった。プッシュアウト法により求められる界面せん断力学特性を用いて複合材料強度を求める理論式を理論式を導出した。また、導出した理論式と複合材料の引張強度の対応について検討した。その結果、複合材料の実験により求めた引張強度と理論値はよく一致した。また、複合材料の引張強度と界面せん断力学特性との間の相関性についてシミュレートすることが可能となった。 以上のことから連続繊維強化金属の引張特性を界面応力の伝達機構を含む形の複合則により定量的に表現しうることが確認された。また、前年度までの結果を再整理することにより、界面特性制御によるによる複合材料強度向上の可能性ならびにSiC繊維強化Ti系複合材料での実験的検証を行うことができた。なお、本研究で得られた基本的な考え方は他種の繊維強化金属へも適用することが可能である。
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