研究概要 |
メカニカルアロイング法を用いて、体積率で5,10及び15%のSiC粒子を含む3種類の7075AI合金高速超塑性複合材料の製造法、及び高速超塑性特性と変形機構を、高温圧縮と引張試験さらにミクロ組織観察によって調べた。得られた結果を要約し以下に示す。 (1)本研究で開発した簡便な圧粉法と加工熱処理で構成された結晶粒微細化法によって、1μm以下の著しく微細な平均結晶粒径を有する複合材料の製造が可能である。 (2)圧縮及び引張り試験によって求めた各複合材の1ogσ-1ogε線図には、5x10^<-1>〜2x10s^<-1>の著しい高ひずみ速度範囲で,m値が約0.36以上の高い値を示すひずみ速度領域(領域2::超塑性領域)が認められた。その領域で各複合材は低い変形応力を示し、引張り試験では200%以上の超塑性伸びを示した。一方、低ひずみ速度ではm値が0.13以下に低下する領域1が存在する。 (3)SiC粒子体積率の増大に伴い、領域2は高ひずみ速度側で現われ、外挿法で求めたしきい応力(σth)が高い値を示した。 (4)各複合材の有効応力σe(=σ-σth)とひずみ速度の関係から求めた応力指数の値は2となり、転位運動で調整された粒界すべり超塑性機構から予測された値で説明できる。 (5)変形後の試験片の表面組織観察の結果、領域2の変形条件では領域1におけるより、粒界すべりがより多くの粒界で起こることが分かった。 (6)本実験で作成した複合材料の高速超塑性の主要な変形機構は、転位運動で律速された粒界すべりに基づくものであり、SiC粒子の粒界すべり抑制作用によってσthを生じたと考えられる。
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