研究課題/領域番号 |
04452284
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市野瀬 英喜 東京大学, 工学部材料学科, 助手 (30159842)
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研究分担者 |
徳満 和人 東京大学, 工学部材料学科, 助手 (20180143)
森 実 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30134646)
石田 洋一 東京大学, 工学部材料学科, 教授 (60013108)
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キーワード | カーボン60 / 界面構造 / ナノ結晶 / 超微細粒 / 格子像 / グラファイト / 転位 / 塑性変形 |
研究概要 |
(1)カーボン60(C60)のナノ結晶の作製:C60はそれ自身新素材であるために、ナノ結晶を作るにもそのための新技術の開発が必要である。結果的には、蒸発源の温度を昇華温度(600℃)よりは高く、C60クラスターの分解温度(800℃)よりは低くすることで、金属の場合と類似のガス中蒸着法が応用できた。 (2)ナノ結晶の作製:ファンデルワールス凝集力の特徴が、C60超微細結晶粒の形状に現れた。金属やセラミックスの微細粒は特定の晶癖面で囲まれた幾何学形状を呈するが、C60ナノ結晶は特定の晶癖面が現れにくい。この形状がC60ナノ材料の物性と強く結びついている。 (3)C60ナノ結晶の力学的挙動と微細構造:C60結晶は容易に変形すると言うより、僅かな力を加えることによって容易に割れが生じて破壊に到る。変形後の結晶を熱腐食するとエッチピットらしいものが観察されるが、その数は変形量から推定される数に比べて非常に少なく、金属のように塑性変形が転位の運動を媒介にしているかどうか見きわめにくい。明視野像や暗視野像では観察が非常に困難であが、格子像観察を行うと転位芯構造が観察されるので、変形の際に“転位"が運動していることはほぼ間違いないが、転位のもっている歪場は非常に弱い。このことからC60では、転位なしの滑りという金属などの材料では通常起こり得ない変形の仕方が、起きていると推察される。 (4)C60ナノ結晶とグラファイト繊維との界面構造:第1ステップとして、炭素繊維とC60界面のエピタキシーの有無について調べた。C60の球を格子点とするエピタキシーは、グラファイトである炭素繊維との間に、エピタキシャル関係はみられなかった。双方の原子間で詳しく調べればエピタキシーを見いだせるかも知れないが、そこまで議論を進めるには更に詳細な実験を行わなければならない。
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