SUS304鋼にアルミナ.PSZを溶射して回転曲げによる疲労強度特性の検討を行った。その結果、溶射することにより疲労強度は増大し疲労限は上昇した。同溶射材料を観察したところ、表面に微細なき裂が多数存在し、引張応力に対しては強度を上昇させる役割はなく、圧縮強度を上昇させることが引張・圧縮試験により明らかになった。 従って、回転曲げ試験において疲労強度が上昇したのは圧縮側の変形を溶射皮膜が拘束したことが原因であると考えられた。 同材料を用いて3%食塩水中で往復分極試験を行った結果、耐食性は劣化した。特に、その原因としてすきま腐食性の増大が考えられる。これは溶射被膜に生じた貫通気孔に水溶液が侵入し、金属イオン電池、酸素濃淡電池が形成され、金属表面が負性アノードとなり金属溶解が促進されたものである。
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