本研究では、セラミックス容射材の力学的な面も考慮に入れた環境強度特性について検討した。得られた成果は以下のとおりである。 1.セラミックス容射材の電気化学的検討から、セラミックス容射材は基材のみの場合に比べ隙間腐食感受性が増大し耐食性が著しく劣化することが明らかになった。 2.Al_2O_3溶射皮膜の残留応力の熱弾塑性解析から、界面のAl_2O_3側では膜厚の増加にともない、特に端部で引張の残留応力が大きくなっていくことが明らかとなった。このことは、Al_2O_3溶射材では膜厚を増加させたときには端部において割れ、剥離がおこりやすくなることを示唆している。 3.セラミックス溶射材の疲労、腐食疲労特性の検討から、セラミックス溶射材の疲労強度は、溶射皮膜に生じたき裂が深く関与していることが明らかとなった。また、NiCrAlY減圧溶射材では、構造が緻密なことより、腐食疲労特性がかなり上昇することが明らかとなった。 4.セラミックス溶射材の応力腐食割れ特性の検討から、Al_2O_3大気溶射材では下地層の引張残留応力を緩和するために下地のみに比べて強度は向上することが明らかとなった。 5.セラミックス溶射材の高温腐食特性の検討から、Na_2SO_4、NaCl、V_2O_5環境において、ZrO_2-8%Y_2O_3の容射材は激しく腐食するが、ZrO_2-25%CeO_2の容射材は、腐食はするものの、その腐食の仕方は比較的穏やかであること明らかとなった。 6.超音波深傷性により容射界面欠陥の検出を試み、剥離状欠陥および異相欠陥の存在を明らかにした。
|