研究課題/領域番号 |
04452289
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
岸原 信義 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40003769)
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研究分担者 |
岩尾 雄四郎 東京大学, 理工学部, 教授 (80039289)
鬼塚 克忠 東京大学, 理工学部, 教授 (20037948)
山口 伊佐夫 東京大学, 農学部, 名誉教授 (30011836)
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キーワード | 荒廃渓流 / 土砂流出 / 巨大崩壊 / 土石流 / 地下水位 / 間隙水圧 / 水温 / 実効雨量 |
研究概要 |
平成5年度は【.encircled1.】眉山山体の巨大崩壊の前兆現象の把握と【.encircled2.】眉山山体からの経常的な土砂流出に焦点を絞り研究を進めた。以下、それぞれの課題について報告する。 1.眉山巨大崩壊の前兆現象把握に関する研究。 平成4年度の調査により確認された島原ユースホステル井戸を中心とする水温・水質異常帯(熱水上昇地帯)について、島原市役所と共同して市内の湧水地点・井戸などを利用して、湧水量・地下水位・水温・水質調査を経常的に行っている。また、長崎県衛生公害研究所と共同して、この異常帯周辺の温泉成分に関する水質試験を行なうと共にユース井戸の揚水試験も実施した。異常帯の分布域を確認するために防衛大学・NHKなどに協力を依頼して熱赤外による地温調査も繰り返した。此等の熱赤外調査によっても異常帯の西方への延長域が確認出来なかったので、電気探査により推定を試みた。此等の調査により次の点がほぼ明らかになってきた。【.encircled1.】ユース井戸の異常昇温は近傍の井戸水位の解析によりその井戸水位の異常上昇の時期(平成3年暮れ〜平成4年初頭)であると推定された。【.encircled2.】この水温上昇は水質試験の結果からも島原市の温泉泉源と同一成分を有しており、地下の熱水(温泉水)が地殻変動に伴って上昇したものと思われる。【.encircled3.】更に、水温に異常が認められない眉山湧水なども成分的には温泉法による温泉と判定され、市内各所に温泉成分がガスの形態で上昇している可能性がある。眉山巨大崩壊の原因は熱水上昇と直下型地震の発生にあると云われている点からも今後の注意深い観測・監視が必要なことを物語っている。 2.眉山山体からの土砂流出に関する研究 (1)土砂流出の経年変化とその誘因との関係を解析するために、雲仙岳を始めとする長崎県内の月雨量・年最大日、時間、10分雨量のデータの収集と解析を行った。また、もう一つの誘因である地震については、震源別・規模別・震度別に資料の収集・整理を行った。 (2)昨年度に引き続き、空中写真の判読を行い、昭和22年以降平成5年に至る12時期の写真を判読して、各時期における荒廃面積を算出し、誘因である地震と豪雨との関連を検討した。その結果地震規模IV、日雨量300ミリ以上の豪雨により大きな土砂流出が発生する事が判明した。 (3)渓流測量により、流出土砂量を推定すると共に、山体の抵抗力の弱体化が推定された。
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