研究課題/領域番号 |
04452290
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
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研究分担者 |
川井 秀一 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00135609)
師岡 淳郎 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00192378)
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キーワード | 水蒸気処理 / 圧縮変形 / クリープ / ドライングセット / 応力ーひずみ図 |
研究概要 |
高温・高圧水蒸気(最大30気圧、約230℃)処理過程で圧縮変形を与えることが可能なプレスを組み込んだステンレス製容器を用い、木材(スギ、ラジアータパイン、ヒノキ、ブナ)の放射方向のクリープ測定を行った。高圧時にプレス圧縮台に加わる水蒸気圧とステンレス容器外にあるロードセルに伝達される力を種々の条件で測定し、ロードセルが受ける力とパッキング部分の温度変化に伴う締めつけ力(摩擦力)を実験的に決定し、圧縮台に木材を挿入した場合に実際に木材に加わる力と木材の変形量を求める関係を明らかにした。木材のクリープ測定における荷重および変形量を決定するために、100〜180℃の各温度領域で、上記木材について、応力ーひずみ図を求めた。100℃以下での測定と同様、100℃以上においても、全てのひずみ範囲で、同じひずみで比較すると、応力値は依然減少を続けた。180℃の測定では、処理時間により、応力値の減少が著しく減少し、木材に生じている化学変化が著しいことが示された。クリープ測定については、結果は温度に強く依存したが、本研究の目的とする、圧縮変形の永久固定に関連した、温度を180℃、応力を非常に小さい4kg/cm^2に設定した場合の連続測定と負荷と除荷を繰り返す間欠測定の結果を例にとって結果を示すと、常圧100℃の結果と著しく異なり、水蒸気処理過程で、木材の成分の分子切断と分子の再結合が同時に生じる複雑な化学反応の生じていることが明らかとなった。ドライングセットさせた木材の変形を拘束して水蒸気処理すると、変形が永久固定される機構は、分子切断による内在している応力の緩和と同時に、分子の再結合による架橋構造の形成によることが実験的に示された。このことを、次年度応力緩和測定ならびに化学処理過程におけるクリープおよび応力緩和測定を行って、さらに詳しい検証を進める予定である。
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