研究概要 |
本研究は,熟成堆肥の連用が畑地土壌にどのような影響をおよぼすかを色々の角度から,長期的に測定・究明することを目的としているもので,昭和58年に設置した7種の試験区(無肥料区,化学肥料混入区,3種の堆肥混入区,2種の堆肥被覆区)において,土壌の物理性,化学性,保水性,排水性地温,硬度,土中の動物相の推移を測定し,同時に,作物の裁培試験も行っている。昭和58年〜平成4年の各種試験結果はつぎの通りである。 1.有機物含量及び間隙率:堆肥施用区では,施用量に増加に比例して年々増加している。 2.土壌団粒:耐水性団粒分析の結果,堆肥施用区においては粗大団粒の形成が著しいことが認められた。 3.保水性および排水性:化学肥料区にくらべて堆肥被覆区では耕土の保水性がきわめて大きく,堆肥混入区でも10t/10a区で3年目,1t/10a区では7年目から向上が見られ,化学肥料区との差が年々大きくなる傾向が認められる。また堆肥施用区では化学肥料区にくらべて排水性が向上している。 4.地温:地温は堆肥施用区では化学肥料区より全体的に高く、堆肥被覆区では地温変動が緩和されている。 5.耕土の硬さ:コーン支持力は堆肥施用量の増加に比例して減少している。 6.クラストの形成:化学肥料区では平成5年度にクラストの形成がみられた。 7.化学性:堆肥施用区では,緩衝能の向上,養分の蓄積,リンの有効化,塩類集積の抑制が見られる。 8.土壌動物:堆肥施用区においては中型土壌動物の種類と数が年々増加しており,微生物活性も向上している。 9.作物栽培:適正量の堆肥の施用により化学肥料施用以上の生長が見られ,とくに堆肥施用区では根部の生長が良くT/R比(葉の質量/根の質量)が小さい。
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