研究課題/領域番号 |
04452293
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 勉 神戸大学, 農学部, 助教授 (20144602)
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研究分担者 |
畑 武志 神戸大学, 農学部, 教授 (70031193)
豊國 永次 神戸大学, 名誉教授 (50027215)
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キーワード | 降雨流出特性 / 雨水損失特性 / 流域モデル / 流出シミュレーション / 地域排水 |
研究概要 |
神戸市域に設定した調査流域について、昨年度にひきつづき、降雨・流出の観測、流域構成諸量および雨水流出システムに関する実態調査、出水時の流量測定等を実施し、不浸透域と浸透域が混在する流域の降雨流出特性に関係する基本資料を収集、解析した。これらの結果をもとに、以下に述べる研究成果を得た。 1、不浸透域と浸透域が混在する流域の降雨損失特性を実用の立場から検討した。調査流域は和風屋根、ビル、道路、駐車場からなる不浸透流出面と草地、裸地からなる浸透流出面とで構成されており、不浸透面での降雨損失は凹地貯留により、浸透面でのそれは凹地貯留と地中浸透によるとして降雨損失モデルを組み立て、上述の解析データをもとに、モデルパラメータ値を求めた。これらの値は、都市化地域の降雨損失特性を評価するうえにきわめて有用なものとなる。 2、既往最大級の1989年9月14日秋雨前線豪雨出水を中心に大規模出水の実態を調べ流出、はんらん特性を調べた。 3、不浸透域と浸透域が混在する流域の雨水流出プロセスを組み入れたシミュレーションモデルを構築し、上述の解析データを用いて、モデルパラメータを同定し、さらにこうしたモデルの適用性についても、出水規模別に検討を加え、適合度の高い結果をえた。 4、こうした詳細な流出シミュレーションモデルの簡易化をはかるため、等価流域モデルを導入した実用的なシミュレーションモデルを提示した。これによって使用目的に適した解析精度をもつシミュレーションモデルを組み立てることができ、解析コストを下げることが可能となった。 5、流域における不浸透面の増加が豪雨によるはんらんを伴う出水特性にどのように影響するかを、シミュレーションモデルを用いて調べた。こうした結果は、都市化の進展、都市整備の進捗に伴う出水はんらんの変化を予測し、これが対策を立てるうえに役立つものである。 6、農地の宅地化等変化の激しい広範囲の都市化地域の地被特性をとらえる方法としてリモートセンシングデータを活用し、LANDSATのTMデータによる土地利用判別の簡易法を提案した。これによると、解析に要する時間がかなり短縮される。
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