HIEIタンデムミラーにおいて、中央セルRFを用いた速波励起によって生成、安定化、イオン加熱された2種イオンプラズマ中で、速波がミラー点をこえてプラグセル内に強磁場側から進入すると、ハイブリッド共鳴点に達する付近で著しい電子加熱を起こすことを、プローブ測定ならびにヘリウムの発光強度比測定により検証した。電子加熱が起きる条件では、ハイブリッド共鳴点近傍で速波の分散関係が変化し、波数の大きな静電波が伝搬していることが観測された。これらの結果は第14回IAEA会議(ドイツ)で発表された。円筒プラズマにおける分散式の計算から、強磁場側入射の速波はハイブリッド共鳴点で、イオンサイクロトロン波では無く別の静電波の分枝に接続することが分かった。この速波から静電波へのモード変換は、磁気プローブによる波動の分散関係の測定結果と一致する。この静電波による電子加熱の結果、イオン閉じ込め電位≧100V、バリア電位≧200Vが形成された。 中央セルに設置したリミターに150V程度の直流電圧を印加すると、プラズマの径方向閉じ込めが改善されることが発見された。閉じ込めの改善は、プラズマの方位角方向回転速度の強い径方向シアーによってもたらされたドリフト波揺動の抑制に起因する。これはトカマク型装置で注目されている閉じ込め改善モード(Hモード)と同様の現象である。この効果を併用することにより、より高効率な電位形成ができるものと期待される。来年度は、新しく製作した端損失イオンエネルギー分析器ならびに軟X線分析器によりプラズマ電位ならびに電子温度の精密な測定を行う。
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