HIEIタンデムミラーにおいて、セントラルセルにイオン閉じ込め電位形成用ICRF波(1.5MHz)を入射し、その効果を調べた。波動伝搬測定より、プラグセルに伝搬してきたICRF速波が強磁場側からイオン-イオン混成共鳴層に入射するとき、静電波にモード変換し、共鳴現象を起こすことが明らかとなった。この条件で、プラグセルでの電子温度の上昇が分光測定より明らかにされ、閉じ込め電位(約70V)の形成が端損失イオンエネルギー分析器による測定で確認された。そして、軸方向閉じ込めの改善が端損失イオンの減少により確認され、軸方向粒子閉じ込め時間は3〜4倍増大したと見積られる。これに伴って、セントラルセルで密度の上昇が観測された。閉じ込め電位の形成機構は、電子温度との関係より、ICRF波による電子の速度空間拡散によるものと推測される。 上記のような軸方向の閉じ込め改善と、リミタバイアスによる径方向の閉じ込め改善(Physical Review Lettersに掲載(Vol.70(1993)pp.4071-4074))を同時に行なった結果、ベータ値にして約14%の高温・高密度プラズマ(イオン温度:0.1keV、密度:10^<13>cm^<-3>)が生成された。このとき、系全体のエネルギー閉じ込め時間が約4倍となり、軸方向および径方向のエネルギー閉じ込め時間がそれぞれ3.8倍、4倍となっていることがわかり、高温・高密度プラズマの生成は系全体での閉じ込めが改善された結果であることがわかった。このような高ベータプラズマは、伝搬ICRF波電界の動重力により安定性が保たれていることが確認された。 以上により、ICRF速波のモード変換による電子加熱と電位形成が、タンデムミラーの閉じ込め改善に対して有効であることが示された。
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