研究課題/領域番号 |
04452316
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
益田 隆司 東京大学, 理学部, 教授 (80114130)
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研究分担者 |
加藤 和彦 東京大学, 理学部, 助手 (90224493)
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キーワード | 64ビットプロセッサ / 分散オペレーティングシステム / 分散共有メモリ / 仮想記憶管理 / バージョン管理 / 共有仮想空間 / 共有データ構造 / 共有データ構造 |
研究概要 |
平成4年度は、プロセス間での緊密な情報交換を効率化する仮想記憶機構とプロセス間の独立性を保ちつつ協調処理を行なう通信機構の設計を重点的に行なった。これまでにシステムの中心的なサービスとそのインターフェイスが決定している。 プロセス間での緊密な情報交換を効率化する仮想記憶機構としては、64ビット仮想空間を用いて、協調するプロセス群が仮想空間を共有する「共有仮想空間方式」を採用した。本研究では当初、64ビット仮想空間をすべてのプロセスが共有する単一仮想空間の可能性を検討したが、この方式では複雑なデータ構造をコピーする際に、データ構造内に含まれるポインタをすべて書き換えなければならないという問題が生ずることがわかった。そこで、この点を解決した方式として、「階層的仮想空間」の設計とその検討を行なった。この結果はIEEE主催の国際会議ISADS93で発表予定である。 さらに、階層的仮想空間方式では実行時のポインタ操作コストが大きい点を考慮して、最終的に現在の「共有仮想空間方式」をとることとした。共有仮想空間方式では、実行時のポインタ操作によるオーバーヘッドをなくすとともに、ポインタなどの位置依存の情報を含むデータ構造のコピーを従来通りバイト単位の操作にするために「仮想空間のバージョン化」を導入することにした。仮想空間のバージョン化では、あるメモリーオブジェクトをコピーする際に、コピーしてできる新たなメモリーオブジェクトを元のメモリーオブジェクトの別のバージョンとみなすことによって、仮想空間上の位置は変化せずにコピーを行なう。この成果は情報処理学会のSWOPPで発表した。さらに、現在DECstationおよびMach3.0を用いて、最初のプロトタイプを作成している。SWOPPで提案した機能の大部分はすでに動作している。
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