研究課題/領域番号 |
04452327
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井澤 靖和 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (10029316)
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研究分担者 |
仁木 秀明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助手 (00135758)
西原 功修 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (40107131)
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キーワード | レーザーウラン濃縮 / チャープレーザーパルス / 近共鳴相互作用 / 非線形伝搬 / 自己位相変調 / 郡速度分離 |
研究概要 |
原子法レーザーウラン濃縮では、U‐235に共鳴するレーザー光をウラン蒸気中に入射し、U‐235のみを選択的に励起電離し、生成したイオンを電磁界で回収する。レーザー光はU‐235に吸収されるとともに、圧倒的に密度の大きいU‐238と近共鳴相互作用し、その波形や周波数が変化する。本年度はU.235による共鳴相互作用およびU‐238との近共鳴相互作用をともに考慮し、多準位原子の励起電離とレーザー光の伝搬とを同時に取り扱える計算コードを開発し、数値計算による解析と実験結果を対比させて、レーザー光の伝搬特性が濃縮性能に与える効果を評価しうるデータを収集した。 1)近共鳴効果がレーザーパルスの伝搬に与える効果には、群速度の低下による伝搬遅れ、レーザー光強度の増大とともに屈折率が変化することによるレーザーパルスの変形および、自己位相変調効果に伴う周波数の変動がある。レーザーウラン濃縮においては第1の伝搬遅れが最も重要で、選択励起用レーザーと電離用レーザーの同期が伝搬距離とともにずれるため、電離効率の低下を引きおこすことが明かになった。 2)周波数をパルス幅内で時間的に掃引するチャープレーザーパルスの伝搬特性は掃引方向に依存して大きく変化することが明らかとなった。ウラン濃縮の場合のように、U‐235の共鳴線がU‐238の共鳴線より高周波側にあるとき、正掃引パルスには近共鳴の影響が大きくあらわれ、伝搬速度の低下とパルス幅の圧縮が著しい。したがって負掃引パルスを用いることが望ましい。 3)金属蒸気中でのレーザーパルスの近共鳴伝搬実験を行い、周波数固定と正掃引のレーザーパルスについて伝搬時間遅れや波形変形が数値解析による効果とよく一致することを確めた。
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