1.高密度液体金属-窒素ガスを用いた二相流自然循環実験を実施し以下の知見を得た。(1)低ボイド率の気泡流領域においては、気相流量の増加に対する液相の循環流量は急激に増加し、気液スリップ比は1に向かって減少する傾向にある。(2)しかし、ボイド率が20数%よりさらに増加すると、二相流の流動様式が気泡流からスラグ流に遷移するため、気液スリップ比は増加に転じ、気相流量に対する液相の循環量の増加率は低下する傾向がみられた。これらの結果を基に、高密度液体金属二相流自然循環における気液スリップ相関式を検討した。 2.高密度液体金属二相流自然循環ループの単相流下降部にMHD発電負荷を模擬した流動抵抗(オリフィス)を組み込んだ二相流自然循環実験を実施し次の結論を得た。ループ全体の管摩擦損失等がMHD発電部での負荷による流動抵抗に比べて無視できる場合、二相流上昇部における平均ボイド率は、二相流上昇部と単相流下降部での密度差による浮力と発電部の負荷による効力がバランスするように定まり、液相の見かけ流速と管内径で定義されるフル-ド数によって表される。 3.本システムの各種原子炉プラントへの適用性を調べるため、高密度液体金属として鉛・ビスマス系合金を、熱力学作動流体として凝縮系(水、水銀、カリウム)または非凝縮系(アルゴンガス)を用いた場合のサイクル解析を実施し、以下の結論を得た。(1)軽水炉、高速炉の温度領域では、凝縮系サイクルは従来の水蒸気タービンサイクルに比べ、サイクル効率において十分競合できる可能性をもつ。(2)1000℃以上の高温熱源に対し、凝縮系においては、多段サイクルを適用した場合約60%のサイクル効率が、一方、非凝縮系の場合でも約50%のサイクル効率が達成される可能性をもつ。
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