研究概要 |
2次元造波水路を用いて,5種類の水位上昇モードを設定して海浜変形に及ぼす水位上昇の影響を調べた。水位上昇モードはステップ関数で与えた。はじめに細砂(粒径0.2mm)で作った一様勾配斜面(勾配1/10)に堆積性の波浪を作用させた実験を行った。その結果,水面の上昇速度がある程度小さいと上昇速度に無関係にバームが陸方向に移動して堆積地形が形成されたが,速度が大きいとバームが取り残された。一方,侵食性の波浪を作用させた実験では,初期に形成されたバーは,水面の上昇速度が大きいとrelicsとして水中に取り残された。これは,実験の当初からある程度予想された結果であった。底質を粗砂(粒径0.7mm)に変えて同様の実験(初期勾配1/10)を堆積性と侵食性の波浪で行った結果,堆積性の波浪条件下では極端に上昇速度の大きいケースを除いて,バームは水位の上昇とともに岸方向に移動していく結果が得られた。一方,侵食性の波のケースでは,初期に形成されたバーも水面の上昇とともに陸方向に移動するという新たな知見が得られた。この場合も水位上昇速度が大きいケースでは移動せずに取り残される。
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