研究概要 |
二次元造波水路を用いて連続的に水位を上昇させたときの砂浜の地形応答特性を調べた。水位上昇速度は1cm/hrと10cm/hrの2種類、砂浜を構成する底質の粒径は0.22mm-細砂-と0.69mm-粗砂-の2種類、作用させる実験波は侵食性の波(沖波波高6.5cm,周期0.8sec)と堆積性の波(2.8cm,2.2sec)の2種類で、これらを組合せて合計8ケースの実験を行った。いずれのケースも初期地形は1/(10)の一様勾配斜面とし、これに侵食性あるいは堆積性の波を1時間作用させて形成される地形と原地形とした、その後、水位を上昇させながら原地形にそれぞれ同一の特性をもつ波を作用させて地形変化を計測した。 侵食性の波が粗砂で構成される砂浜に作用したときには水位上昇速度の大小にかかわらず非常によい地形の応答を示すが,細砂の場合には水位上昇速度が小さいときには陸上部は侵食性されスカ-プが作られたか、上昇速度が大きいときには陸上部には堆積が生じバ-ムが形成された。このように侵食性波浪が粗砂の海浜に作用した場合は、水位上昇速度にかかわらず最終地形に大きな相異はないか細砂の海浜に作用した場合は、上昇速度の大小により形成される陸上部の地形は全く異なる。 堆積性の波が粗砂の海浜に作用したときは、水位上昇速度が小さい場合はバ-ム・ステップという堆積地形が出現するのに対し、上昇速度が大きい時には堆積地形を示す特徴はみられなかった、細砂の場合には、水位上昇速度の大小にかかわらず典型的な堆積地形が出現した。このように堆積性の波が細砂の海浜に作用した場合は水位上昇速度のちがいが最終地形に大きな影響を及ぼしていないが、この波が粗砂の海浜に作用すると、水位上昇速度のちがいによって最終地形のプロファイルに大きな影響を与えていることがわかる。この結果は、侵食性の波浪を作用させたときの結果とは全く逆であり、非常に興味深い知見である。
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