研究課題/領域番号 |
04452330
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
杉原 重夫 明治大学, 文学部, 教授 (90061978)
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研究分担者 |
竹迫 紘 明治大学, 農学部, 助教授 (20206965)
叶内 敦子 明治大学, 文学部, 非常勤講師
梅本 亨 明治大学, 文学部, 講師 (20201957)
小疇 尚 明治大学, 文学部, 教授 (10061897)
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キーワード | 蛇石火山 / 矢の原湿原 / 最終氷期 / 花粉分析 / テフラ / ^<14>C年代測定 / ボーリングコア / 樹種同定 |
研究概要 |
1.伊豆半島先端部の蛇石大池湿原において、深度40mまでのオールコア採取の機械ボーリングを行い、次のような知見を得た。 (1)蛇石大池では、深度35.3mまで池沼性の有機質堆積物が認められ、これ以下は玄武岩質の礫層となる。とくに深度21.4mまでは泥炭質粘土・シルトからなる。 (2)上記の堆積物中には、示標となる約17枚のテフラが認められる。このうち鉱物の屈折率測定、主要元素の定量分析から同定されたテフラとして、上位からカワゴ平軽石、鬼界アカホヤ火山灰、姶良Tn火山灰、グリース状黒雲母火山灰がある。このほか、箱根火山起源と考えられるテフラや、遠来の細粒なテフラが認められたが、正確な対比は今後の課題である。しかし、テフラの年代等から、蛇石大池の湿原堆積物が、最終氷期以降の堆積物であることは明らかである。 (3)ボーリングコアについて深度7mまでの予察的な花粉分析を行った。その結果、姶良Tn火山灰の約1m上位でTsuga,Picea,Pinusが著しい植生から、Cryptomeria,SciadopitysさらにはCyclobalanopsisを主とする植生に変化したことが明らかになった。 (4)ボーリングコア中に認められた埋没樹木についての樹種同定から、ヒノキ、コウヤマキ、アスナロ、スギ、ツガ属、などすベて針葉樹であることが明らかになった。このうちコウヤマキは、現在では静岡権西部から宮城県にかけてしか認められていないもので、植物地理学上貴重な資料と考えられる。 2.このほか東北地方南部から中部地方にかけての湿原(矢の原湿原など)においてシンウオールボーリングを行い、試料を採取して^<14>C年代測定などの分析を進めている。
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