1.水、ノナンおよびエチレングリコールモノブチルエーテルからなる3成分2相系の相挙動を熱力学的な観点から研究した。水相とエーテル相の組成をガスクロマトグラフ法を用いて大気圧下で温度とエーテルの全濃度の関数として精密に測定した。2相平衡系に対する新しい理想性の基準の一つを提唱し、組成に関する実験結果をもとに検討した。これに基づき2相の理想希薄溶液の組成範囲を決定し、水相におけるエーテルの会合体形成は温度が低くなるほど優勢であるのにたいし、油相におけるそれは温度が高くなるほど優勢であることを示した。さらに水相から油相へのエーテル分子の移行の熱力学量が組成に関するデータから得られることを示し、この系の移行は生のエントロピー変化をともない吸熱的であることを見いだした。 2.この系の界面張力をエーテルの全濃度と温度の関数として測定し、熱力学関係式により解析した。この結果、油相からのエーテルの吸着はエントロピーの減少を伴い、水相からの吸着はエントロピーの増加を伴うことを見いだした。 3.空気-水-長鎖アルコール三成分系における空気/水界面でのアルコールレンズの2面角をビデオマイクロスコープと画像解析処理装置により測定した。アルコール界面膜の相転移、濡れ-非濡れ転移、水相の空気/アルコール界面への侵入などを発見し、界面張力の測定結果や熱力学により検証した。
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