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1992 年度 実績報告書

高励起リュードベリ状態を利用した高分解能光電子分光法の開発とカチオンの分光研究

研究課題

研究課題/領域番号 04453013
研究機関東北大学

研究代表者

藤井 正明  東北大学, 理学部, 助手 (60181319)

研究分担者 伊藤 光男  東北大学, 名誉教授 (20013469)
キーワード光電子分光 / 気相電子スペクトル / 多光子過程 / リュードベリ状態
研究概要

まず既存のイオン検出用真空槽に一切手を加えず、自作のパルス発生器を接続して高励起リュードベリ状態を利用した光電子分光法を試みたところ、ジアザビシクロオクタン分子のイオン化ポテンシャルを明暸に測定することが出来た。得られた分解能は0.6meV(5cm^<-1>)であり、磁気シールド等を一切省いた簡易な装置にもかかわらず従来の光電子光分光法の分解能より100倍以上の超高分解能が得られた。
次に真空槽のポンプを大形のものに交換して真空度を向上させたところ信号強度が大幅に向上した。これは真空度の向上により衝突イオン化で高励起リュードベリ分子が消滅する割合が減少したためである。また電場イオン化信号の電場イオン化パルス波形と信号波形の関係を検討したところ、自作の簡易なパルス発生器で充分実用に耐えることが判った。
そこでo-、m-、p-フルオロトルエン、1,2,4,5-テトラフルオロベンゼン、p-ジフルオロベンゼンにこの分光法を適用したところ、カチオン(基底状態)の振動準位に対応するイオン化ポテンシャルを明暸に分離して観測することができた。特にフルオロトルエンについては低振動数のメチル基内部回転準位を完全に分離して観測することができた。内部回転準位は従来の光電子分光では全く分離不可能であり、この分光法の優秀性を示すものである。また得られたスペクトルを解析してカチオンでの内部回転ポテンシャルを決定したところ、カチオンでの回転障壁は中性分子での障壁よりも1.5〜20倍大きくなっている事が明かとなった。このポテンシャル障壁の増大はメチル基超共役効果と深く関係していると考えられ理論家の興味を呼んでいる。
以上のように装置は簡易なままで高感度、高分解能な光電子分光法を実現でき、また種々の化学的に興味有る分子に適用できたことから分光法としての汎用性を確立した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Masaaki Fujii: "Electronic Spectra of Fluorobenzene Cations as Studied by Mass-selected Ion Dip Spectroscopy" J.Mol.Struct.249. 55-68 (1991)

  • [文献書誌] Yuko Tsuchiya: "Vibronic Coupling in S_1 of o-and m-Difluorobenzene" Chem.Phys.Lett.183. 107-112 (1991)

  • [文献書誌] Makoto Takahashi: "Thermal Lensing and Photoacoustic Spectra of Gaseous Acetylene by Pulsed Tunable IR Laser" Can.J.Chem. 69. 1656-1658 (1991)

  • [文献書誌] Yuko Tsuchiya: "Electronic Spectra of o-,m-and p-Difluorobenzene Cations:Strking Similarity in Vibronic Coupling Between the Neutral and its Cation" J.Phys.Chem. 96. 99-104 (1992)

  • [文献書誌] Ken Takazawa: "Pulsed Field Ionization Spectroscopy for the Study of Molecular Cations" Chem.Phys.Lett.189. 592-597 (1992)

  • [文献書誌] Makoto Takahashi: "Two-Color Double Resonant Spectroscopy via A^^〜^1A_u State of Acetylene:3p Rydberg State and its Renner-Teller Effect" J.Chem.Phys.96. 6486-6494 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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