1. 二次元広幅スペクトルの測定のために、現有のNMRシステムを改造した。また解析のための二次元広幅スペクトルのシミュレーションプログラムを開発した。 2. 異なる位置にある二つの^<13>Cの化学シフトテンソルとそれらの間の双極子相互作用による二次元広幅スペクトルの測定法を開発した。メチン炭素及びカルボキシル炭素を選択的に10%ダブルエンリッチしたDL-マンデル酸を試料とし、実験とシミュレーションにより、カルボニルおよびメチルの^<13>Cの化学シフトテンソルの主値および主軸方向、さらに炭素核の結合距離および結合核を求めた。 3. スペクトルのシミュレーションには、ハミルトニアンH(t)を対角化してプロパゲーターU(t)を求め、それを用いて計算したFIDをフーリエ変換することにより、様々なパルス(有限パルス幅効果を含む)の系列のもとでの、一次元あるいは二次元NMR/同種核あるいは異種核スピン系/静止(粉末or単結晶)試料あるいは回転試料のスペクトルおよび磁化の振る舞いを近似理論を用いずに計算するプログラムを開発した。 4. γ-バレロラクトンのメチル炭素を^<13>Cエンリッチし、コール酸に包接させた化合物で^<13>C2次元交換NMRを行い、S体の信号とR体^<13>CH_3信号の間でクロスピークを観測した。この原因はスピン拡散によることを温度変化測定と1Hデカップリングによりつきとめた。このことはS体とR体がミクロに混在していることを意味し、S体のみが包接されているというX線構造解析の結果を否定する。 5. indole-4炭素を99%エンリッチしたL-tryptophanを用いてオフマジック角度回転下で2次元化学シフト/双極子相互作用powder patternを測定し、indole-4炭素の化学シフトテンソルの主値・主軸方向、ならびにC-H結合距離を求めた。
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