研究課題/領域番号 |
04453019
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 嘉則 東北大学, 理学部, 教授 (60029519)
|
研究分担者 |
浅尾 直樹 東北大学, 理学部, 助手 (60241519)
|
キーワード | ルイス酸 / 14族金属元素 / 有機鉛反応剤 / クラム-シン選択性 / Nーアシルイミニウムイオン / シンクリナル遷移状態 / ステロイド側鎖 / α‐アルコキシカルバマート |
研究概要 |
近年、有機合成におけるルイス酸の役割は益々重要なものになってきている。我々は14族金属元素とルイス酸を組み合わせることにより、新反応性、新選択性の発現を目指し、研究を行った。その結果、 1.TiCl_4存在下、ステロイド側鎖を有するキラルなアルデヒドに対し、S-配置を有するキラルなα-メトキシ有機鉛反応剤を作用させ、高いクラム-シン選択性を得ることに成功した。またラセミ体の有機鉛反応剤を用いると、効率良く速度論的分割が行われ、やはり同様に高いクラム-シン選択性が得られた。これによって得られた生成物は28-ノルブラシノライドの前駆体として有用である。 2.ルイス酸存在下、α-アルコキシカルバマートから中間体であるN-アシルイミニウムイオンが生成することを^1H及び^<13>CNMRを用いることにより初めて確認した。更にその両者の間に平衝が存在し、その平衝定数は利用するルイス酸に強く依存していることが分かった。またその中間体の生成定数を飽和移動現象から、その構造をNOE実験から決定することに成功した。 3.これまで分子内にアセタールを有するγ-アルコキシアリルスズ化合物がルイス酸存在下で非常に効率良く環化することを見い出している。この環化の遷移状態を明らかにするため、α^1位にメチル基を導入した基質で反応を行い、その生成物の立体構造を解析したところ、反応はシンクリナル遷移状態を経由して進行することを見い出した。 以上3つの系について成功を収めた。更に今後種々のルイス酸の導入を図り、古典的カルバニオン種の「安定化‐活性化」法という概念に基づき新反応性、新選択性の発現を目指したい。
|