研究概要 |
当初の研究計画、ミセル動電クロマトグラフィーによる金属キレートの分離について検討した結果、等速電気泳動装置を用いて、SDSミセルaゾーンを分離できた。そこで、これを溶媒抽出法と組み合わせる目的で、SDSミセルにジチゾン抽出液を溶解することを試みたが、SDSミセルの溶解能力が十分でなく、SDSミセルのクロマトグラフィーへの利用は諦めざるを得なくなった。そこで、計画を以下のように変更した結果、報告に値するに十分な研究成果を得た。 等速電気泳動装置を用いたEDTAキレートの分離について、検討した。ジチゾンで強酸性溶液から抽出できるAg(I),Hg(II),Cu(II)のEDTAキレートの等速電気泳動法による分離はできなかった。しかしこれらの金属イオンはジチゾン抽出液からEDTA溶液に送抽出されないことがわかり、ジヂゾン抽出ーEDTA送抽出法により、Ag(I),Hg(II),Cu(II)をZn(II),Ca(II),Fe(II)などから分離できた。後者のグループはジチゾンで弱酸性溶液から正抽出される金属イオンで、ジチゾン抽出液からEDTA溶液に逆抽出できた。EDTAキレートとして逆抽出されたZn(II),Ca(II),Fe(II),は等速電気泳動法で分離できることがわかり、その分離の程度はアセトン混合溶媒の利用によって改善された。以上の研究成果はさらに実用分析法として発展させるべく現在検討中である。
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