研究概要 |
ジチゾン抽出-EDTA逆抽出-等速電気泳動法による金属イオンの分離をHSAB経験則によって設計した.分離できた金属イオンはPb^<2+>,Zn^<2+>およびCd^<2+>で,本研究の成果は論文として分析化学に投稿準備中である.またジエチルジチオカルバミン酸正抽出-EDTA逆抽出-等速電気泳動法によるPb^<2+>,Zn^<2+>およびCd^<2+>の分離の設計に成功し,その成果は日本化学会春季年会(1994年4月,東京)において発表を予定している. 金属イオン-モノチオテノイルトリフルオロアセトン(STTA)-1,10-フェナントロリン(phen)三元錯体の結合様式をHSAB経験則によって解明し,得られた知見はDTAおよびIRによって実験的に裏付けられた.この成果は錯体化学の国際会議(1994年7月,京都)で発表を予定している. ジチゾン抽出を利用して天然水中の銅(II)錯化容量および溶存銅(II)錯体の反応活性度の同時測定法を開発した.本法は国際会議トレースアナリシス(1994年8月,函館)において発表を予定している. 銅(II)-STTAキレート(MR_2)の逆抽出機構は,MR_2が水相に移りこれにH^+が結合する段階MR_2 + H^+ → MR_2H^+が律速であることを解明したほか,STTA濃度が高い領域での反応はMR_<2,org> + H^+ (〕 SY.dblharw. 〔) MR^+ + HR_<org>,MR^+ + H^+ → MRH^<2+>であることが判明した.カドミウム(II)-STTAキレートの場合には,MR_2のキレートリングの開環が律速であることを明らかにした.逆抽出機構に関するこれらの研究は次年度に体系化する計画である.
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