研究概要 |
イオン溶媒和の電気化学センサーの開発とその応用に関連して,次の研究を行った。 1.pH-ISFETの非水溶液用pHセンサー及びプロトン溶媒和センサーとしての応用:pH感応型電界効果トランジスタ(ISFET)の市販品を改良して耐溶媒性とし,非水溶液のpH測定及びプロトン溶媒和の測定に応用した。この研究はISFETの非水溶液への始めての適用である。ISFETは,種々の非水溶液のpH及びプロトン溶媒和に対してネルンスト応答し,また非水溶液のpH測定に通常使用されるガラス電極よりも著しく大きな応答速度を示した。このISFETをγ-ブチロラクトン中の酸解離定数の決定とプロトンの溶媒間移行活量係数の決定に用い,良好な結果を得た。 2.一価カチオン用ガラス電極の応用:一価カチオン用ガラス電極がリチウムイオンの溶媒和エネルギーに熱力学的に応答することを利用して,リチウム電池などで用いられる各種非プロトン性混合溶媒中の溶媒和の状態について研究した。 3.機能性高分子膜イオンセンサー:フタロシアニンコバルト錯体を結合させたポリアクリルアミド膜が各種非プロトン性溶媒中のフッ化物イオン及びシアン化物イオンのセンサーとして利用可能なことを見いだし,これらのイオンの溶存状態の研究に応用した。 4.異種溶媒間液間電位差:イオン溶媒和の研究に電気化学センサーを用いるための基礎として異種溶媒間の液間電位差について詳細に検討し,液間電位差の新しい見積もり法として三成分法を提案し,その妥当性を実証した。
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