[pH変化により多様な組織構造が形成される錯体系の合成および組織構造の機能性]本年度は、自己組織化に重点をおいて、どのような分子設計を施せば、目的とする組織構造を意図的に構築することができるかを探った。自己組織構造構築の条件を幼児玩具レゴブロックトノ相同性にもとめた。その条件として(1)凹凸を持つこと。(2)繋ぎ方が数通りあり多種類の構造物ができる可能性があること。(3)ばらばらに分解できること。を設定した。この条件を満足する錯体として、イミダゾール部位のプロトン解離により誘発されるイミダゾレート架橋構造構築に伴う自己組織構造に焦点をあてた。イミダゾール部位を含む四座配位子、三座配位子の銅(II)錯体[Cu(HL)]^+を合成した。この種の錯体は、高pH領域でのイミダゾールプロトン解離による特異構造を形成する。四座配位子系では、一次元鎖状高分子構造形成を、三座配位子系では四核構造が形成されることを見いだした。このことを磁化率の温度変化、結晶構造決定等で確立した。
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