研究課題/領域番号 |
04453049
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機・錯塩・放射化学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宗像 惠 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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研究分担者 |
前川 雅彦 近畿大学, 理工学総合研究所, 助手 (70229293)
KITAGAWA Susumu Tokyo Metropolitan Univ., Chemistry, Professor (20140303)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 二次元銅錯体 / 銅錯体集合体 / 三次元銅錯体 / 無限鎖構造 / ドーピング / 電気伝導 / テトラチオフルバレン / ダイヤモンド構造 |
研究概要 |
2次元シートを有する錯体集合体の構築.ドナー分子のTMT-TTFを2次元に並べたシート構築を目的として、まずCulを用いて[(Cul)_2(tmt-TTF)]_∞(1)を合成した。1は4角形のCu_2l_2がTMT-TTFで架橋された一次元無限鎖構造である。隣接鎖間の最近接S…S間距離は3.75Aであり、これはSのvan der Waals半径2倍(3.60A)とほぼ等しく、S…S接触が存在する。次にCuBrを用いて、[(CuBr)_2(TTF-TTF)]_∞(2)の合成に成功した。まず注目されることはCuとBrが螺旋構造を形成していることである。さらにtmt-TTFがこの螺旋骨格に架橋した二次元ネットワーク構造をとっている。TMT-TTFは分子平面の方向にはS…S接触はないが、上下方向でS…S接触(最近接S…S距離は2.64A)があることは注目される。さらにCuClを用いて[(CuCl)_2(TMT-TTF)]_∞(3)の合成にも成功した。この構造の特色は、一つはCuとClはジグザグ構造を形成していることである。もう一つはこのジグザグ骨格に架橋したTMT-TTFの分子間距離は長く、隣接TMT-TTF間のS…S接触はないが、2次元シート間の最近接S…S距離は2.53AでS…S接触が存在することである。粉末の1-3は絶縁体であったが、これらをヨウ素-ドーピングした黒色粉末ではlog σ(電気伝導度)は-1.7(1)、2.1(2)、3.6Scm^<-1>(3)であった。ここで合成した3つのtmt-TTF錯体は部分酸化によって高温、高圧下で伝導性が著しく増大することが期待され、金属錯体超伝導体創成の可能性を示唆した点で特に注目される。 ダイヤモンド型3次元巨大多核錯体の構築.配位子に3-cyano-6-methyl-2(1H)-pyridinone(cmp)を用いて共有結合で繋がった3次元巨大多核錯体の構築に成功した。Cuだけの骨格に注目すると12員環Cuからなるチャネルと4員環Cuのチャネル構造を有する。12員環チャネル内には対アニオンのClO_4が取り込まれており、固体イオン膜としての機能が期待される。
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